「昔の変額年金保険は利率が低いから解約した方がいい」と言われたら

5月中旬、30代女性から変額年金保険についてご相談をいただきました。
せっかくなので、この話を皆さんに向けてもしようと思います。
相談内容がこちら。
“” 10年くらい前にS生命の変額年金保険に入ったんですけど、仕事の付き合いで保険の人が来て、
「今の保険は利率が低いから、解約して入り直したほうが元が取れる」的なことを言われました。
本当に解約した方がいいのでしょうか? “”
よくある相談です。結論から言うと、
「利率が低いから解約した方がいい」と言われて、安易に解約するのは慎重になるべきです。
もし合理的に考えたいのなら、選択肢としてはこの2つ。
①今の変額年金保険を持ち続けるか
②解約して、NISA等で運用するか
「利率が低いから」は、本当に判断材料になるのか?
まず注意したいのが、「利率が低い」という言葉ですね。
ここで言っている利率とは、何の利率の話なのでしょうか。
変額年金保険は銀行預金のように「年利○%で増える」という商品ではありません。
保険料の一部が特別勘定という運用部分に回り、その運用成果によって将来の金額が変わる商品です。
なので、「新契約の方が利率がいいから解約した方が得」はちょっとグレーです。
ここでいう利率が、予定利率なのか、運用利回りなのか、最低保証の話なのか。
変額保険のパフォーマンスは、中身の資産配分(株式、債券など)」に依存するので、
予定利率を指しているなら、この営業の方は勉強不足なのかもしれませんね。
保険の「乗り換え」には利益相反の視点も必要
保険の販売現場では、契約の乗り換えを勧めることで、販売側が新たな手数料を得るケースもあります。
もちろん、すべての営業の方がそうだという話ではありません。
本当にお客様のために見直しを提案しているケースもあります。
ただ、その提案が本当に自分の利益のためなのか、販売側の実績や手数料につながる提案になっていないか、
という視点は持っておきたいところです。
これを難しい言葉でいうと、利益相反です。
変額保険は「保障」と「運用」が一緒になっている商品
変額保険は、死亡保障や年金受取の仕組みがありつつ、保険料の一部で投資信託のような運用が可能です。
ただ、経済合理的に考えれば、保障は保障、運用は運用で分けるのが適切です。
死亡保障が必要なら、掛け捨ての保険で必要な分だけ準備する。
老後資金を増やしたいなら、NISAやiDeCoなどで運用する。
とはいえ、すでに加入している変額保険を、今すぐ解約した方がいいとは限らないんです。
「おすすめしない」と「今すぐ解約」は別の話
新しく入るならおすすめしにくい商品でも、すでに10年、15年と続けている場合は、話が変わることがあります。
なぜなら、保険には初期費用や解約控除、契約年数による返戻率の変化などがあり、
長期契約の中には、今後だけを見れば持ち続けた方がよいケースもあるんです。
判断するために必要なのは2つ
本当に解約した方がよいのかを判断するには、次の2つを確認します。
- そのまま続けた場合、満期はいくらになるのか(IRR)
※IRR(内部収益率)は、複雑な保険でも投資信託と同じ『%』の物差しで、利回りを比較できます - 解約したお金と今後の保険料を、別の運用に回した場合どうなるのか
特に大事なのは、「これから払う予定だった保険料も含めて考えること」です。
ここまで比較して、はじめて「どちらが合理的か」が見えてきます。
私ができることは、これらを数字で比較してお見せすること。
でも本当のことを言うと、もっと大事なことって、
「家計全体を見たうえで、お金の置き場所、使い方がそれで正解なのか」
★そもそも死亡保障は足りているのか
★資産と負債のバランスは最適か
★収入や支出を考慮しているか
★運用に回していいお金はいくらなのか
保険営業の言葉を否定する必要はありません。ただ、その言葉だけで決める必要もありません。
ということで、モヤモヤしている方は少しお役に立てたなら幸いです。お気軽にご相談ください。
